お知らせ

イスタンブールを旅してきました。目的は、ミマール・シナン(正しい発音はスィナン)の建てたモスクやメドレセ・ハマムなどや、ビザンティン帝国時代の聖堂の見学でした。でも、修復中のものもあり、外観すら望めないところも多く・・・ 詳しい事柄は忘れへんうちにに記事をのせます。

2011年1月3日月曜日

3-1 コロッセオ(Colosseo)へ

コンスタンティヌスの凱旋門(Arco di Constantino)の傍を通ってコロッセオへ。

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コロッセオはいつも入口で長蛇の列ができているという。パラティーノの丘もフォロ・ロマーノもあまり人を見かけなかったが、コロッセオの周りには人が多い。しかしその中には観光客ではない人たちも少なからずいるのが遠目にもわかった。
昨日現地ガイドのおばさんから、「剣闘士の格好をした人たちを写すと高額のお金を要求されることがあるので注意して下さい」と言われていたのだった。
入口(左下)近くの外壁は風化が激しい。凝灰岩のように柔らかそうだ。補強のために使われた鉄が、後世に銃弾かなにかの武器をつくるために抜かれたために穴がたくさん空いているとガイドが言っていたが、本当に穴だらけだ。
そして半円柱がないのは、バチカンのサンピエトロ大聖堂(Basilica di San Pietro in Vaticano)に使われたからだそうだが、このような再利用は、ずっと昔から行われてきたので驚かない。
『ROMA』は、コロッセオの外側と全体の支えとなる構造はトラヴァーチンがまっすぐに積み上げられ、その他の部分は凝灰岩やレンガ、コンクリートなどがまっすぐ積み上げられており、長径が188m、短径が156mである。
外側は、半円柱(トスカーナ式、イオニア式、コリント式)と角柱のある80のアーチが3段並んでおり、屋階がついて全体の高さは48.50mになっている。屋階には、内部を覆うための巨大な日よけのポールが置かれていたところが、今でも残っている。杭の支え台を今でも見ることができる。この日よけを設置するためには何千人という熟練した船乗りの力が必要だったという。
2階と3階のアーチの下には一つ一つに彫像が置いてあったようだ。
『図説西洋建築物語』は1階の半円柱の様式をドーリア式としている。
ドリス・イオニア・コリント式の円柱が三層に重ねられた薄い壁で覆われています。内部は、中央の闘技場をめぐって座席が敷きつめられ、その下部に、剣闘士、野獣の檻、死者の小室にあてられた施設を持つ三層から成るヴォールトの複合体があります。建築上の要請に従う独創的な構造と多様な材料-たとえば溶岩は基礎の強化に、石灰岩と煉瓦は壁に、軽石はヴォールトの重量を少なくするために用いられていますという。
1階の円柱は大抵の本はドーリア式となっているが、『ROMA』はトスカーナ式とされている。しかし、実物がないのでは見極めようがない。
入口付近でニセ剣闘士と、写真を撮ってお金を払っている人がいた(ビデオで撮影)。
コロッセオは入場券を買うのに長い列ができているので、ローマ・パスがあるとその列に並ばずに入るとこができるということだった。また、フォロ・ロマーノ、パラティーノの丘、コロッセオの3箇所はセット券になっているので、最初に入るところで、その券をもらう必要があるので、並ばなくても入れるパラティーノの丘を最初に見学して共通チケットをもらっておくと後が楽だということだった。
それでパラティーノの丘を先に見学したのだが、そのセット券なるものをもらわなかったので、不安ながら入口へと向かった。
西端からコロッセオの通路に入って、高いヴォールト天井を時計回りに長々と歩くと、チェーンで3列ほどに分かれていて、どういう訳か一番内側の行列の後ろについてしまった。それでチェーンをくぐって左の列に出ると、係員が注意しに来たので、「ローマ・パス」と言って、首から提げたフォルダに入れていたローマ・パスを見せると、ローマ・パス専用の入口へ案内してくれた。やっぱりローマ・パスはお得!
非常に高いヴォールト天井の下を歩いていて、トンネル状の天井があちこち変形しているように感じた。
ここでもローマ・パスのバーコードをタッチして入ったが、これでローマ・パスの美術館や遺跡の2箇所までタダというのが終わってしまったのか、不安。
コロッセオにもエレベータがあり最上階までまず上がる、と何かで読んだので、エレベータを探してどんどん奥(東)へと歩いて行く。一番奥に1機発見。他の人はこの辺りで右折して階段を登っていた。
「コロッセオにはエレベータはこれしかありません。体の不自由な人や高齢者が使えるように、一般の人は階段を使って下さい」というような注意書きがあるので、入るのをためらっていたら、他の人もやってきたので、一緒に乗ってしまった。外には柵が見えた。
エレベータを降りて右方向へ。天井が歪んだように見えたのは、交差ヴォールトになっていたからだった。交差ヴォールトはずっと後のロマネスク様式に現れるのではなかったのか。
『ロマネスクの教会堂』は、交差ヴォールトはトンネルヴォールトの欠点を補うヴォールトであり、すでにローマ建築で一般に用いられていたという。ロマネスク様式や交差ヴォールトについては何時の日にか。

通路の先に何かあるようだったが、とりあえずアレーナを見よう。
このようなアーチをくぐって内側の通路へ。
※参考文献
「ROMA ローマの昔の姿と今の姿を徹底的に比較する!」(2001年 Electa)
「ローマ古代散歩」(小森谷慶子・小森谷賢二 1998年 新潮社) 

「図説西洋建築物語」(ビル・ライズベロ 1982年 グラフ社)  
「図説ロマネスクの教会堂」(辻本敬子・ダーリング益代 2003年 河出書房新社)