お知らせ

イスタンブールを旅してきました。目的は、ミマール・シナン(正しい発音はスィナン)の建てたモスクやメドレセ・ハマムなどや、ビザンティン帝国時代の聖堂の見学でした。でも、修復中のものもあり、外観すら望めないところも多く・・・ 詳しい事柄は忘れへんうちにに記事をのせます。

2016年9月15日木曜日

ソグド州博物館2 ゾロアスター教からイスラームへ


博物館1階では、石器時代からの展示があった。

そして、キルギスのイシク・クル湖岸で見たような岩絵も。前1千年紀のものらしい。

大きな角をみせる動物
角が後ろに反っているが、渦巻いてはいない。両肢を揃えている。
これとよく似たオオツノヒツジがキルギスのイシク・クル湖畔の初期鉄器時代の岩絵に見られる。
幾重にもというひとはないが、渦巻きそうな角もある。

なんといってもソグド人の地なので、ゾロアスター教もこの地の宗教だった。

拝火壇の図解パネルがあったが、2本の円柱に支えられた半円アーチはローマから伝播されたものかな。漆喰装飾の文様も完成されたもの。時代がわからない。

オッスアリ(ゾロアスター教徒の骨蔵器)
全体にスタンプによる小さな文様が押されている。内外に赤茶白の文字らしきもの
それがこのような空間に安置されていた。
『偉大なるシルクロードの遺産展図録』は、ゾロアスター教はイラン世界北辺部にその端を発する宗教であるため、ソグド地域も早い段階で伝わり、王の権威のもとでその信仰が取り込まれたアケメネス朝ペルシャの時代に広く受け入れられていたものと思われる。
また、多彩なレリーフや型態をもつオッスアリと呼ばれるソグド人独特の素焼きの蔵骨 器も各地で出土している。オッスアリに骨を入れナウスと呼ばれる墓に収めるもので、正統ゾロアスター教圏では見られないソグディアナ周辺のみに認められる 葬法である。オッスアリには、人間や建物から円錐形のものや単なる四角い箱と様々な器形があり、その表面には様々な装飾や死者への哀悼を示す光景などが浮 彫りや彩色により描かれ、ソグドの美術・歴史を示す資料として貴重なものとなっているという。

オッスアリという素焼きの骨蔵器は中央アジア独特のものというのは知っていたが、ソグド人が鳥葬をしていたかと、最近ある人に聞かれて返答に困った。

『文明の道3海と陸のシルクロード』は、オッスアリは、長さがおよそ60㎝程度の素焼きの棺である。
ゾロアスター教(拝火教)を信仰したソグド人たちは、汚れた屍体が神聖な火や大地に触れることを嫌い、火葬や土葬をせずに鳥や動物に屍体を食べさせ、骨にしてから改めて埋葬した。このときに骨を入れるのに用いられたのが、オッスアリと呼ばれる小さな棺だったのだという。
鳥葬とは限らなかったが、動物に食べさせていたのは確からしい。
ナウスと呼ばれる墓がどんなものか想像もできなかったが、このように再現されているのを見ることができてラッキーだった。でも、地上に築いたのか、地面を掘ったのか、私は後者だと思う。
オッスアリの前に立て掛けてある長方形の板はオッスアリの蓋ではない。墓碑だろうか。
床面に四角形の凹みがあるが、何のためのものだろう?水を張っていたのかな?
後日訪れたタシケントのウズベキスタン歴史博物館にナウスを再現していて、四角い部屋には入口から入るとコの字形にオッスアリを置く台があり、このナウスも入口側から見た内部の再現であると理解できました。

発掘調査のパネルで、太陽の祭壇の出土状況が紹介されている。
その背後にも半円、ないし半楕円形にならんだ日干レンガが部分的に見えている。こちら側が太陽の祭壇なら、裏側は月の祭壇?

月の具象 そして連珠円文に囲まれた胸像。その前には三日月が描かれている。連珠円文といえばソグド。「月の具象」というが、ゾロアスター教で月は崇拝されていたかな?

イスラーム時代
ミフラーブ 10-11世紀 アシュト
形としては拝火壇に似ていなくもない。
漆喰装飾
上の大きな花、花弁は大きすぎるが、ヒマワリを連想させる花の中心には卍繋のような文様がある。

無文の焼成レンガ
浮彫焼成レンガも

この博物館は、床面がガラス張りになっていて、そこも展示スペースだった。
何かの文様を刻んだレンガ片や、
モスクや墓廟のファサード(ピーシュターク)に使われることの多い、アラビア文字の銘文と蔓草の青色施釉浮彫タイルの断片などが置かれていた。
黄瀬戸のような風合いのある施釉の器も。

そういえば、おそらくこの城壁の変遷を示すパネルがあった。
① 創建時
② 再建または改築の時
③ 最終的なもの

     ソグド州博物館1 ホジャンドにアレクサンドロス大王が
                           →イスタラフシャン1 ムグ・テパ遺跡

関連項目
ソグド人の納骨器、オッスアリ

※参考文献
「中央アジアの傑作 サマルカンド」 2008年 SMI・アジア出版社
「偉大なるシルクロードの遺産展図録」2005年 株式会社キュレイターズ
「NHKスペシャル 文明の道3 海と陸のシルクロード」 2003年 日本放送協会