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中央アジア各国の旅行記が完成したので、西アジアのイラン旅行をまとめています。
その中で気になるものについては、忘れへんうちにに記事を載せていきます。

2017年5月8日月曜日

ヴァーンク教会(kalisa-ye Vank)


イスファハーンを東西に流れるザーヤンデ川の南方、ジョルファ地区はアルメニア人の居住区になっている。
アルメニア人にはキリスト教の信仰が許されているという。バスを降りてしばらく歩いたが、どことなくムスリムの居住区とは雰囲気が違った。

ヴァーンク教会について『地球の歩き方』は、1655-64年に建てられた教会という。
Google Earthより

西ある正門には高い時計塔が付属する。アーチ・スパンドレルにタイル装飾がある点はイスラームっぽい。
入って右手には不思議な形の鐘楼。それでも、東トルコ、ヴァン湖に浮かぶアクダマル島のアルメニア教会の鐘楼(18世紀)と、似ていなくもない。
やはりイスラームっぽいドームや尖頭アーチ、そしてそのスパンドレルの文様に覆われた聖堂がある。

教会の入口前まで行くと、アルメニア人の女性がスカーフを外していた。キリスト教徒の女性は、教会の敷地内では髪を隠さなくても良いとのこと。
思えば、東トルコでは、アクダマル島やアニ遺跡で古いアルメニア教会を見てきたが、アルメニア人に会うのは初めて。
また、後方の建物には組子の窓が並んでいて、これもイスラーム風。

聖堂の壁面には墓碑?その前の床面は墓が並んでいる。
墓の浮彫の一つ。
人面の鳥有翼天使セラフィムが、入り組んだ尖頭アーチのスパンドレルに登場する。
尖頭アーチの中央上には、両手で花を掴む王冠を被った双頭の鷲?が描かれている。不思議な図柄だ。

鐘楼にも随所にイスラーム建築の要素が見てとれる。
鐘楼の下にも石棺が置かれている。
主文様は沈み彫りで、逞しい蔓草文様を表している。

入口はますますイスラームっぽい。浅いイーワーンにムカルナスまでそろっている。
Wikipediaによると、元々は、サファヴィー朝のアッバース1世の治世である16世紀から17世紀にかけてエスファハーン造営を目的にアラス河畔(現在のアゼルバイジャンとイランとの国境付近)から動員されたアルメニア人のための教会であり、アッバース1世をはじめとするサファヴィー朝歴代の皇帝は、彼らや彼らの信仰するアルメニア正教の保護に努めてきた。現在も、エスファハーンやイラン国内に多数在住するアルメニア人コミュニティーの精神的な拠り所として機能しているという。
サファヴィー朝の建国者はアルダビール出身、アルメニアとも近い。その関係からアルメニア人を新都建設のために連れてきたのかも。
現在の教会が完成したのはアッバース2世(在位1642-66年)の時代。
扉口上のタンパンは絵付けタイルで受胎告知を表しているが、修復には関係のないタイルが嵌め込まれているのが残念。

聖堂内部は、ドームも壁面もフレスコ画で覆い尽くされている。
前室のドーム。外から見ると、鐘楼の上部構造のようなものがそれ。
ドームを支えるペンデンティフは、アーチ・ネットで区切られた区画にセラフィムが3体描かれる。
下の壁面には最後の審判の場面

主室のドームは、セルフィムや窓の間の絵画に気付かなければ、イスラームそのもの。
奥のイーワーン、いや後陣には祭壇が置かれている。
右壁。
一番上はノアの方舟かな、丸いけど。下段にはキリスト伝の様々な場面が絵かがれている。

北側に出てると、二連の尖頭アーチ。
アルメニア博物館へ。

まずは一階から
壁面に掛かっていたのは金唐革。

革のカーテン 16世紀 イタリア製
同じ文様のものを横に3枚縫い合わせてある。
聖職者肖像が、葡萄唐草の地に金の背景で表され、天使は体が金で描かれている。
ピントがいまいちだが、天使や葡萄の実に凹凸がある。革ならではの装飾技法。

タイル 12世紀
もっと驚いたのが、このタイル。ラスター彩やラージュヴァルディーナを組み合わせて作られている。
12世紀というとイスファハーンは交易の要衝として栄えていたかも知れないが、首都ではない。こんなすごいものがあろうとは。タイトルが「タイル」だけなのは残念。
詳細については後日

二階建ての各壁面には、やはりイコン画が多く飾られていた。
絵付けタイルもたくさんあった。キリスト教伝を表したものかも。
これも絵付けタイル

十字架さまざま
十字架 1647年 ジョルファ地区で製作
各端に三葉状の装飾がつく。

聖書写本 羊皮紙
説明はすごいピンボケでまったく分からないが、反対側の福音書も羊皮紙に書かれており、9-10世紀とされているので、この写本も古いかも。
福音書 9-10世紀 羊皮紙
司祭の祭服 1775年
胸あたりに磔刑図が表されている。
vagas(調べてもわからない) 1683年 刺繍 ジョルファ地区製作

そしてアララト山の絵画
アルメニア側から見ると、大アララト山が右に、小アララト山が左に見えて、トルコ側とは反対。
小さな教会が大アララトから小アララト方面に3つ描かれている。

外に出て、聖堂の側面。あの二連アーチからこちらに出てきた。
この時計台も創建当初のものだろうか?


イスファハーン スィー・オ・セ橋とハージュ橋
                  →イマーム広場2 カイセリーヤ・バザール



参考文献
「地球の歩き方E06 イラン ペルシアの旅」 ’12-’13 ダイヤモンド社