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中央アジア各国の旅行記が完成したので、西アジアのイラン旅行をまとめています。
その中で気になるものについては、忘れへんうちにに記事を載せていきます。

2017年7月10日月曜日

ペルセポリス(Persepolis)3 トリピュロンまで


遺跡全体図(『Persepolis Recreated』より)。
①入口大階段 ②万国の門 ③アパダーナ(謁見の間) ④ダリウスの宮殿 ⑤H宮殿 ⑥G宮殿(水利施設) ⑦クセルクセスの宮殿(ハディシュ) ⑧クセルクセスの宮殿東階段 ⑨トリピュロン ⑩屋根の架かったアパダーナ東階段 ⑪未完の門 ⑫百柱の間 ⑬ハレム ⑭宝物庫 ⑮アルタクセルクセス3世の墓 ⑯アルタクセルクセス2世の墓 ⑰城塞

階段降り口から北方を眺める。手前には⑥G宮殿(水利施設)の下にある遺構。右下の外壁は凹凸があるが、左のほうの矩形の穴には形の整ったブロックが積み重ねられている。日干レンガでも焼成レンガでもなく、切石みたい。修復材か、オリジナルか?
遠くには③アパダーナの高い円柱と⑩東階段に架かった屋根、⑫百柱の間などが見渡せ、ラフマット山の斜面には⑮アルタクセルクセス3世の墓も見えている。
南東方向には⑯アルタクセルクセス2世の墓も。
階段を降りていくと、
左手に⑧階段を飾る浮彫らしきものが。左奥にも北に向かって階段が続いているが、何があったのかな。
少し進んで振り返ると、⑦ハディシュの高い基壇と扉口の側壁などがのぞいている。
その北側、⑥G宮殿とされる水利施設址が、⑦ハディシュと同じレベルにあったことはわかる。しかし、そんな施設に王宮と同じ格のモティーフの浮彫や階段があったとは思えない。
東側の階段は、中央から両端へ、踊り場から中央方向に折返している。小さいながら王宮があったのかな。
大阪大学のイラン祭祀信仰プロジェクトクセルクセス宮殿東階段のおかげで、これが⑦クセルクセスの宮殿(ハディシュ)の東階段であることがわかった。場所がずれているのは何故?
同ページは、トリピュロンの南に位置するクセルクセス宮殿の東入口。中央壁の前から南北に踊り場付きの登り口階段がある。南登り口の下には南壁,北登り口の下には北壁がある。3壁それぞれににライオンと牛の闘争図と碑文、兵士たちが刻まれている。各階段の側壁には家臣の列が刻まれているという。
上階段の牡牛に襲い掛かるライオンはしゃがんで牡牛に襲いかかっている。前肢や後肢の力強い筋肉表現や、顔面各部の盛り上がりなどは、定型化されているが、なかなかのもの。
下階段のライオンは立って牡牛に襲っている。こちらの方は筋肉もたてがみも浅い彫りになっている。

正面(東方向)の低くなっている場所にあるのは⑬ハレム。
その中に博物館がある。

北へ進むと、3つの扉口状のもの、その北側には屋根のかかった⑩アパダーナの東階段、その右には⑫百柱の間が見えてきた。

これが⑨トリピュロン(3つの門がある建物)。
⑮アルタクセルクセス3世の墓より眺めたトリピュロン
扉口の側壁に王が日傘とハエ払いをかざしたお付きの者2名を従えて歩く姿が浮彫されている。
こちらの扉口の側壁の浮彫は違う場面のようだが、壊れていてよくわからない。
でも、頂部にはアフラマズダ神の象徴有翼日輪が大きく表されている。
下の方ではどの国の服装なのかわからないが、小さく表された人々が両手を挙げて上の出っ張りを支えている。
反対側の方は日陰だが状態が良い。
玉座に坐す王の下3段にわたって両手を上に玉座を支えている人たちが表されている。
想像復元図(『Persepolis Recreated』より)
『GUIDE』は、ペルセポリスの中心を占めている遺構は、3つの扉口という意味で、他の宮殿への通路のあるささやかな宮殿である。それで、「中央宮殿」「トリピュロン」まれに「王の門」とされる。北階段は、ペルシア貴族たちが普段着で広間に向かって歩く姿の浮彫で飾られているので、「会議の間」という名称もある。
中央宮殿は、アパダーナの中庭よりも2.60m高い基壇に、アルタクセルクセス1世が完成させた。アパダーナの中庭からは、柱廊に出る2箇所に分かれた階段で上がる。柱廊玄関の扉口は、15.46m四方の広間へと続いている。広間は、南側と東側にも扉口がある。
中央宮殿の東側はほぼ破壊されているが、長い通路をはさんで、ハレムと100柱の間に繋がる2つの部屋があったという。
こちらも中央から両端へ、踊り場から中央方向に折返ししているタイプ。
⑩アパダーナの東階段には屋根が架かっているが、その南端にはトリピュロンの北階段もある。
北階段の東側面には槍を持つ兵士が行進する場面。
円帽子の者は箙(矢筒)を左腰に、右にはアキナケス剣を付け膝までの服をきている。縦襞のある帽子の者は箙を背負っていて、袖も裾も長く襞の多い服を着ている。両者が交互に並んでいる。
北へ折れても同じ配列が続く。
階段の三角壁面には立って牡牛を襲うライオン。その筋肉の彫りは浅い。
ライオンの背後には葦が並ぶ。奥の壁面にもライオンが牡牛を襲うモティーフが刻まれている。
画面が小さいので、ライオンも牡牛も寝そべって表現されている。
その上には、トリピュロンで会議する貴族たちが並んでいる。しかも、隣り合う者と手を結んで。中には顔を合わせていたりする者も。顔は横向きでも体は前向きの者が多いなか、体も横向きの者もいたりと、和やかな雰囲気を表現している。
その続きには、縦襞のある帽子で長衣の兵士が4名、槍を持って右向きに行進している。
不明の壁面(大抵は碑文があるが)を挟んで両横に丸い穴のある盾を持つ兵士が4名、左向きで並んでいる。
その続きにはまたしゃがんで牡牛を襲うライオン。
手前の階段の三角壁面には立って牡牛を襲うライオン。
そして服装や箙の担ぎ方が交互に違っている兵士の列で終わっている。
階段の西側には少し隙間があって、その向こうはアパダーナの東面になっている。ということは、アパダーナの東階段から降りると、90度折れて、この階段を登れば良かったのだ。

  ペルセポリス2 ダリウスの宮殿からハディシュ
                 →ペルセポリス4 アパダーナ東階段から百柱の間

関連項目
ペルセポリス(Persepolis)5 博物館からアルタクセルクセス3世の墓
ペルセポリス1 正面階段からアパダーナへ

※参考サイト
大阪大学のイラン祭祀信仰プロジェクトクセルクセス宮殿東階段トリピュロン(三門宮)

※参考文献
「Persepolis Recreated」 Farzin Rezaeian 2004年 Sunrise Visual Innovations
SD選書169「ペルシア建築」 A.U.ポープ 石井昭訳 1981年 鹿島出版会
「THE AUTHORITATIVE GUIDE TO Persepolis」 ALIREZA SHAPUR SHAHBAZI 2004年 SAFIRAN-MIRDASHTI PUBLICATION