お知らせ

イスタンブールを旅してきました。目的は、ミマール・シナン(正しい発音はスィナン)の建てたモスクやメドレセ・ハマムなどや、ビザンティン帝国時代の聖堂の見学でした。でも、修復中のものもあり、外観すら望めないところも多く・・・ 詳しい事柄は忘れへんうちにに記事をのせます。

2014年2月17日月曜日

ロドス島2 ロドス旧市街周辺


ロドス島の北端にロドスという名の街がある。
『古代ギリシア遺跡事典』は、世界遺産にも指定されているロドスの旧市街。たしかに、現在この街を訪れる人の目に映るのは、中世の聖ヨハネ騎士団の遺跡ばかりかもしれない。しかし、この街の地下には、ヘレニズム時代を代表するギリシア都市ロドスの遺跡がそっくり埋まっているのであるという。
その旧市街の北東部に港が3つ並んでいるが、西端の一番小さいものがマンドラキ港と呼ばれている。

エヴァンゲリスモス教会
ヴェネツィア支配期に建立されたという通り、ビザンティン風のドームの多い聖堂とはかなり異なった外観になっている。

入口は尖頭アーチでゴシック風。
しかし、細部を見ると、古代ギリシアのアンテミアや蔓草文が、時を経て形を変えながら、こんなところに出現したりして興味深い。
内部は3廊式バシリカの平面で、身廊と側廊を隔てる平面や側廊の窓側壁面に、びっしりと壁画が施されている。 
ポスト・ビザンティンというのだろうか、ビザンティン帝国からオスマン朝、そしてヴェネツィアと支配者は代わっても、荘厳の伝統はビザンティン風。それともギリシア正教会風と言うべきかな。
後陣は玉座の聖母子。
『THE KNIGHTS OF RHODES』(以下『RHODES』)は、後陣と交差部にはリブ(肋)のある尖頭アーチが架かるという。
気付かなかった・・・

教会前の広場に風変わりな噴水。ここからマンドラキ港を眺めた。

マンドラキ港のシンボルとされているのがこの一対の鹿の像らしい。
しかし、広場からこの像を見るなら午後の方が良い。何故なら、朝は逆光になって非常に見難いからだ。午前中に見るならば、聖ニコラス塔からの方が良いかも。
そうそう、古代ここには世界七不思議の一つ、ロドス島の巨像があったのだった。

『図説ギリシア歴史・神話紀行』は、前292年に着工し、前280年に完成。島の持ち主である太陽神ヘリオスの姿をかたどり、芯は石、表面は青銅や鉄でつくられたというこの巨像は、高さ36mほど。古代ロドスの港をまたいで立ち、その股のあいだを帆船が通れるほどだったという。
前225年におそった地震であえなく倒壊してしまったが、その後653年にアラブ人が残骸の金属部分を運びさるまで、900年近くもそこによこたわりつづけていたという。
そうだ、船でマンドラキ港に到着するのが一番よく見えるだろう。
聖ニコラス塔
同書は、1465年頃バーガンディ公爵の資金で、グランド・マスターのP.Rザコスタが建設したという。
突堤には風車が並ぶ。
『THE KNIGHTS OF RHODES』は、中世にはおびただしい風車がつくられた。街の東側の堤防に13基、2、3基がセント・ニコラス要塞の堤防に、コスキノス門に4基が1480年に建てられたという。

元々3つ程度の数だったようだ。
堤防にわざわざ風車をつくらなくても
風が強いからやろ
こんな所で穀物を挽いていたのだろうか。
同書は、風車は直径5mで、風にやられないように円錐形の屋根は可動式になっている。
役目によって2つのタイプがある。一つ目は穀物や火薬を挽くこと。
二つ目は水を引くこと。井戸から水を引き上げてタンクに移していたという。
こんな所でも真水が出るんやね。
間近で見たエーゲ海の水

ロドスのほぼ先端部の浜辺にはカラフルなパラソルとストライプの寝椅子が並んでいて、一はまだいないが夏のリゾートの雰囲気が溢れている。
向こうに見えるのはアナトリア半島の西端、というか、かつてはロドスにとっての脅威だったオスマン帝国の領土。

『古代ギリシア遺跡事典』は、古代のアクロポリスの遺跡は、都市域の南西部に位置する海抜111mのスミス山の上に広がっている。旧市街から坂道をのぼっていくと、まず大きなスタディオンと音楽堂の遺構がある。しかし、よく見れば分かるように、これらは旧市街にある騎士団の「グランド・マスターの館」と同様、イタリア統治時代の懐古趣味の産物であって、ほとんど原型をとどめないまでに復元されており、考古学的な価値はそれほど高いものではない。
この音楽堂の横の階段を上がったところがアクロポリスであり、現在では一隅だけが復元されたドーリス式のアポロン・ピュティオス神殿が、かろうじてかつてのロドスの繁栄を偲ばせているという。

リンドスからロドスに戻る時に、アポロン・ビュティオス神殿のある丘でバスを停めてくれた。
神殿の遺構の手前にたくさんの自転車が置いてある。
ロドス郊外では、乗用車、バイクはもちろん、バカンス客たちはバギーを乗り回したりして休暇を楽しんでいるというのに、ここでは坂道をギコギコ登って、地味な遺跡巡りをしてるグループがいた。 
見学する遺跡としてまだ整備されていないので、プランもわからない。
その奥は崖になっているらしい。みんな遺跡よりも海の方を眺めている。
大きなクルーズ船が寄港しているようす。
先に来ていた自転車はアシスト付だった。グループは次の遺跡へ向かう準備を始めた。
後からきたグループは、何とアシストもないMTBだった。若者は頑張ってますなあ。
ちなみに我々の乗り物は、道路に停めてあるバス。
バスが走り出してすぐにスタディオンが見えたが、今度は止まることなく通り過ぎた。音楽堂(オデイオン)は見えなかった。


       リンドスの遺跡←           →旧市街へはアンボワズ門から

関連項目
ロドス島7 ヨハネ騎士団長の館2
ロドス島6 ヨハネ騎士団長の館1
ロドス島5 旧市街を街歩き2
ロドス島4 旧市街を街歩き1

※参考文献
「古代ギリシア遺跡事典」 周藤芳幸・澤田典子 2004年 東京堂出版
「地球の歩き方A24 ギリシアとエーゲ海の島々&キプロス」 ’13-’14年版 ダイヤモンド社
「THE KNIGHTS OF RHODES」 ANNINA VALKANA EDITIONS M.TOUBIS
「図説ギリシア 歴史・神話紀行」 巖谷國士 2004年 河出書房新社